第9章 月詠の子守唄
2人残された男達がそれを微笑ましく見守りながらゆっくりと歩いた。
「女どもは賑やかだな。派手で良いぜ。」
「いつの間に仲良くなったんだ?」
「風呂の時だろ?」
「そうか......」
「御館様がなんで俺たちをお前たちに会わせたのかわかった気がする。」
宇髄がニヤリと顎に手をやり、フッ笑みを浮かべる
「俺もわかった気がする。」
楽しそうに笑う妻の後ろ姿に頬をわずかに緩ませて、声は太陽の光を受ける水面のように穏やかだ。
「同じ生命をかけて戦うのに、お前たちのところは居心地がいい。」
「そりゃぁそうだろ!」
白い歯を見せてニィと楽しげに宇髄が笑って見せた。
「アイツらが派手に笑って生きられるようにしていこうぜ?
お前らが加われば100万力だ!派手にな!」
狛治の背中を分厚い手で叩いてはニカッと笑う男に、罪に推し潰れそうな心がまた軽くなる。
ふと、その笑顔に師範であった慶三の笑顔を思い起こされ、胸が暖かくなるのを感じた。
「天元さまぁー!狛治さーん!」
前方で大きく手を振りながら、女たちが二人を呼ぶ声が届く。
二人もまたそれに応えて走り出す。
これから聞かされ知らされる事実から、桜華を守るかのように、全てが優しく暖かだった。