第7章 最悪と最善
「いや…。活路は前方だよ」
「え?」
慌てて振り返り、マリーの視線を追いかけると。
な、何で気づかなかったんだろう!
こんなに目の前にあったのに!
「あれアラバスタか!?」
隣でナーティもつぶやく。
前方に、それは広い大地。
久しぶりに見た。
──島だ。
「海軍に助けを求めるよりアラバスタに逃げ込んだ方が助かる可能性は高い。海軍船が近づいてくるまでこの船がもつか分からないからね」
「…そうかも」
「それに、捕虜がいると分かれば海軍は攻撃をやめざるを得ないし。おれたちが人質に取られてその間に逃げられるのが一番厄介だ」
マリーの説明にうなずく。
それが今想定できる最悪、だね。
よし、分かった。要は、海軍がこの船を完全に沈めちゃう前に、あたしたちがアラバスタに逃げおおせればいいのだ。
ようやく脱出できるかもしれない。
そう思うと急に力が湧いてくる気がした。