第7章 最悪と最善
「今がその最悪、じゃねぇの?」
思わず声に出しちゃったかと思ったけど、聞こえてきたのは隣からだった。ナーティも呆れてるみたい。
そりゃそうよね。
これ以上の最悪なんて想像もしたくないし、もちろんあたしとしてはこれ以上がないことを祈りたい。
マリーは悩ましげに少し眉をしかめてから、
「うーん、アラバスタに着くのがあと1ヶ月後、とかだったら最悪だね」
はははと笑う。
あたしとナーティは思わず顔を見合わせた。
お互いの顔を見て同じ意見だと確認する。
「「まっっっったく笑えないよ、それ!!」」
一ヶ月後なんてあたしたちはおろか、海賊たちも生きられないんじゃない?いや、海賊たちはどうでもいいや。
少なくともあたしたちはあと一ヶ月なんて確実にもたない。
ここ最近の急激なご飯の減り具合から見て、多く見積もってもあと1週間耐えるのがやっと、だと思う。冗談抜きに。
いよいよこれはまずいことになってきたぞと思わずにはいられなかった。
ポジティブに考えていても仕方ないかもしれない。ダメな時はダメ、なんだから。
生唾を飲み込んで現実に向き合っていると、恐ろしいことを言ってのけた本人はのほほんと笑った。
「ま、脱出のタイミングを見誤らないようにしよう。君じゃないけど、おれの予想でもあともう少し、だと思う」
なにを根拠に?
気休めでも何でもいい、問い詰めて聞こうと思った。
その時──。