第7章 最悪と最善
「おれ、悲観的になってたわけじゃないよ。喋るとお腹すくからさ、くだんないことベラベラ喋んないで黙ってただけ」
「あ、そう」
そうだ、そうだよ。
こういうやつだった、この人は。
久しぶりに口開いたと思ったら。
なーにがくだんないことベラベラ喋んないで、よ。
それじゃあたしとナーティがくだんないこと喋ってることになるじゃないの。
多分本人は嫌味を言った気は全くないんだろうけど。そういうところがマリーらしいというか何というか。
「あと、こういう時は、ポジティブよりどっちかというと最悪を想定するべきだと思うよ」
ま、それで気が滅入らないっていう前提だけど、と付け加えてから少し笑う。
上っ面だけの前向きな発言より、悪い方向含めて起こり得るパターンをできるだけ想定しておいて、未然に防ぐ方法、もしくはそうなってしまった場合の対策を練っておいた方がいい。
そう言いたいんだろう彼は。
そうすれば逆境を乗り越える活路が見出せるかもしれない、と。
冷静な彼らしいと言えば彼らしい意見。
言わんとすることは分かる、んだけど。