第1章 ずっと昔から【沙明】
その後ずっと喪失感に苛まれて。ツバサが来なくて。
でもそれは紛れもなく自分のせいで。俺の言葉のせいで。
毎晩のように枕を濡らして眠りについた。
何もやる気は起きなかった。ツバサがいなくて。
11歳の頃か。神とやらがいるんだったら願いを叶えてもらいてェところだな。
ツバサだけじゃなくて、ボノボ達もいなくなった。
どこぞのお偉いさんの気に障ったのかしんねーけど、みんな処分されちまった。
俺は友達がみんないなくなっちまった。
大切な人に心無いことを言って。
ツバサの家の端末番号は知っている。でも、伝達は出来なかった。
拒絶されるのが怖くて。今更何と言われるのが怖くて。
会いたいっつー想いは変わらねーのにな。
先に拒絶したのは俺。今になって報いが来たっつーことだ。
ツバサからもらったネックレス。銀の飾りがついたネックレス。今も俺の首にかけてあるモノ。大切なモノ。俺の誕生日にツバサがくれたモノ。
ずっと身につけていた。ツバサを大切にすることが出来なかった。ツバサから貰ったものだけでも大切にしたかった。
夢ン中にツバサが出てきた時はすごく嬉しくて。でもやっぱりあの頃には戻れないから哀しくて。
胸が張り裂けそうだった。2人で撮った写真。こっそり撮ったツバサの写真。アルバムを見て寂しさを軽減させた。
可愛いツバサ。ずっと大好きだった。
「会いてェよッ……」
新しく関わるヤツがいても、ツバサが頭の片隅にいて。
結局忘れることなんてできなくて、ずっとツバサに片想いをしている。届かない片想い。
18になるぐらいの頃に、俺は親元を離れて辺境惑星を出ていった。ルゥアン星系で船を降りて、それなりの大学で勉強してた頃だ。……お前も体験したように、グノーシア騒動に巻き込まれた。