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【グノーシア】【短編集】宇宙を漂う船の中で

第1章 ずっと昔から【沙明】


にしてもどうしようか、単刀直入に聞くか、ちょっと濁して言うか……
「それで、話ってなに?」
ええい、もう単刀直入に言ってしまおう!
「沙明のことについてなんだけど、」
「……沙明が、どうかしたの?」
少しだけ間が空いた。……やはり彼女は知っているかもしれない。
「ツバサ、沙明のこと昔から知ってる?」
「……なんでそんなこと聞くの」
「君が沙明と話してる時、君はいつも笑っているけれど、その中に少しだけ辛さが滲み出ていたんだ。それが気になってて」
「………」
ツバサが押し黙ってしまった。
我ながらちょっと無理矢理感のある理由だけど、僕はロジックと防御系ステータス、カリスマにステータスを振っているから、多分バレないだろう。
それに、沙明から聞いたなんて言う訳にはいかない。
「………知ってるよ。昔から、沙明のこと」
「……昔、沙明となにかあったの?」
「あったよ。……話すけど、誰にも言わないで。特に彼には絶対内緒にして」
無言で頷く。彼女から話が聞ければ、解決に一歩近づくかもしれない。
でも、ツバサ。沙明に言わないという約束は、守れないかもしれない……僕は今、沙明とツバサの関係を修復するためにここにいるんだ。
「私と沙明……ミンくんは、昔別れた、幼馴染みたいなものなの」
やっぱり覚えていた。
記憶を消されでもしない限り、彼女が物心ついた頃からのことを忘れるはずがない。
前のループで、彼女が自ら言ったことだ。
「昔は今みたいに凄く仲が良かったんだ。……でも、両親の仕事の関係上、私は遠くに行くことになったの」
「……沙明には、言ったの?」
「……言ってない。もし言ってしまっまたら、彼もついて行くって言って、聞かないだろうから」
沙明はツバサのことが本当に大好きだったんだな……
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