第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
――21:27 明治神宮前〜渋谷間
猛スピードで駆け抜ける虎杖の左耳で、メカ丸が『虎杖』と呼んだ。
『良いニュースだ! ヤツら、封印した五条ヲ、地下五階から動かせなイ‼︎』
「何で⁉︎」
『五条 悟だからダ‼︎』
キッパリと言い切るメカ丸に思わず笑い声を上げる。
なんだ、それ。めちゃくちゃ説得力ある理由じゃん!
『包囲網を作るゾ!』
メカ丸の作戦によると、渋谷駅 各地下鉄路線の隣駅――副都心線『明治神宮前駅』、半蔵門線『表参道駅』、東横線『代官山駅』、田園都市線『池尻大橋駅』の四方から術師を向かわせ、“術師が入れない【帳】”が上がり次第 突入するというものだ。
「向かわせろったって、伊地知さんと連絡つかねぇし……」
そこで、「あ」と気づいた。ここからなら“アイツら”が近い。
それに……任務前に顔を合わせた。アイツらが配属された班を仕切る、五条の一学年下の後輩だという一級術師。
冥冥や日下部たちにも感じた。
見ただけで分かる。あの人も自分が会った中で強い部類の術師だ。
虎杖は渋谷に下りた一番 外側の【帳】へと躊躇わず突っ込んだ。【帳】の中では改造人間が非術師を襲って回っている。
動揺したのは一瞬――……一、二、三、四……――虎杖はその場にいる改造人間を数えた。