第49章 スビト・フォルテな衝撃【渋谷事変】
『索敵に長けている人間が渋谷で暗躍せずに、明治神宮前に派遣されているからダ。虎杖はそもそも、数ヶ月前まで呪術界との繋がりがなかっタ』
確かに、索敵ができる術式を持つ者は限られている。敵側も色々と使いようがあるだろう。
それに加え、冥冥には一級術師としての高い戦闘力を持っており、仮に冥冥が敵だったなら、渋谷で大いに活躍しているはずだ。
虎杖に関しても然り。呪術界と関わるようになって数ヶ月――寝返るほどの動機も人脈も持たない。
「いやいや、体よく協力を拒むためかもよ? それに、待機命令が出ているからとはいえ、すぐ渋谷に向かおうとした虎杖君を今の今まで止めていたのは私だ。渋谷に近づかせたくないと考えた内通者の可能性はないかい?」
からかうように言う冥冥に、メカ丸が『では』と逆に尋ねてきた。
『なぜ、アンタを始末するための呪詛師がここに向かっていル?』
メカ丸に一拍遅れ、虎杖と冥冥も近づいて来る呪力に気づき、振り返った。
「一……二……二人かな……虎杖君、コイツらと君がさっき戦った呪霊、どっちが強い?」
「……たぶん、さっきのバッタより強い」
そう答えると、冥冥は「ふむ」と小さく相槌を打つ。
「虎杖君が祓った呪霊は、拙いながらも人語を操っていたと言っていたね。どんなに少なく見積もっても準一級以上……そんな連中がウヨウヨいるのか」
今まで どこで何してたんだろ、と呟いてこちらを振り返った。