第48章 混乱極まるラプソディ【渋谷事変】
『く……っ』
【領域展延】の状態で五条に攻撃を当て、すぐに身を引く。それを繰り返しながら、漏瑚は焦っていた。
呪霊攻略に非術師の救出に五条 悟を集中させる。
最低でも二十分 足止めしたら、夏油 傑と【獄門疆】を展開する――そのはずだろ⁉
もうニ十分は過ぎたはず。
なぜ来ない⁉
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ホームの奥で、夏油は呪霊に腰を掛けて長い足を組み、頬杖をついて笑った。
「まだまだ。五条 悟、全然 余裕じゃん。もっとヒリヒリしないと」
【獄門疆】――平安時代中期の天台宗の僧で、生きた結界である源信の成れの果て。そして、この【獄門疆】に封印できないものはない。
封印の条件は、【獄門疆】を開門後 一分間、封印有効範囲 半径四メートル以内に封印対象――今回の場合だと五条 悟――を留めなければならない。
漏瑚は無理難題だと激昂していたが、疲弊させてしまえば問題ない。
一分と言っても、現実時間での一分である必要はないのだ。
五条 悟の“脳内時間”で一分――そのために、自分はここにいる。だが――……。
「この感じだと、私と【獄門疆】の出番はまだ先かな」
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