第48章 混乱極まるラプソディ【渋谷事変】
『はぁ、はぁ……』
次、と五条が冷たい空色の【六眼】に睨みつけると、火山頭は冷や汗を流しながら目をギョロつかせていた。ごった返す人に紛れ、【九相図】もこちらを窺っている。
ザッと一歩を踏み出すと、火山頭は慌てたように背を向け、近くにいた人間を五条へ投げつけた。ビタッと無限が衝突を止める。
その隙に背後から飛びかかってきた火山頭が拳を振りかぶるが、殴って吹き飛ばした。
『脹相! 協力しないのであれば、貴様から殺す‼』
火山頭に『はいはい』とため息を吐きながら、【九相図】が血液の矢を飛ばしてくる。人間を貫きながらうねるように迫る血の矢が、無限に阻まれた。
一般人に紛れて展延によるヒット&アウェイ――つかず離れずを繰り返すつもりか。だが、それも限界だろう。
呪霊が視えない人間までもが“五条を”避け始めていた。このままホームの人間が減り続けてスペースができれば火山頭を捉えることができる。
先ほどのように術式を解いて誘うのはなしだな。本当なら近接に持ち込んで殴りまくるのが一番 手っ取り早いが、それはすでに晒しているから警戒しているだろう。
距離を取って【九相図】と連携し、人混みを巻き込んでの大技を出されても面倒だ。
――ごめん。全員は助けられない。その代わり――……。
「――絶対 祓ってやる」
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