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十六夜の月【アイナナ短編集】

第4章 四夜目.恋のかけら




《IDOLiSH7メンバー、四葉環の熱愛発覚!お相手は、人気ヘアメイク!?》
壮五の脳内に、そんな見出しが浮かんだ。


「答えては、くださらないのですか」

『…私の気持ちは、私だけのものだから』


詰め寄る彼のその表情は、見る者を凍り付かせる。エリは言ってから、唇に歯を立てて唾を飲み下した。
壮五は冷たい表情のまま、懐に手を差し入れる。そして、一枚の紙を取り出した。一見するとただの紙切れであるが、価値は紙切れとは比べ物にならない。


『!!』

「小切手です。こちらに、お好きな金額を御記入ください。記者の方から受け取る予定の、倍でも十倍でも。僕が必ず即金で支払うことを約束します」


エリは、白紙のそれを食い入るように見つめている。やがて我慢の限界がきたとでもいうように、ゆるりと口角を歪めた。そして小切手を手に伸ばし、両手で頭上へと掲げ笑い声を上げる。


『っふ、ふふ…。あはははっ』


壮五は、耳を塞ぎたい気持ちでその声を聞き続ける。しかし頭の中は、環にこの事実をどう説明しようかとただそればかりを考えていた。

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