第3章 三夜目.トライアングラー
相手をシャワー待ちしている間、何をして良いのか分からない。どんな顔をして、どんな姿勢をしていたら良いのやら。ただ、頭の中はこれから三月と行われるであろう行為でいっぱいいっぱいだった。
そんなに長い時間を置かず、三月が部屋に戻って来る。ベットの中央で正座して、固まっているエリを見て弱々しく笑った。
「エリ」
彼が隣にやって来れば、ぎしりとベットスプリングが軋む。三月は名前をひとつ呼び、指先で頬に優しく触れた。
「本当に、いいのか?怖かったら、嫌だって言えばいいから」
『怖く、ないよ』
「…途中でやめてって言われても、多分オレ止まってやれないぜ?まぁ、努力はするけどさ」
『三月…』
怖いとか、怖気付くかもとか、もしかすると少しはそういう気持ちも出てくるのかもしれない。しかし、そんな感情よりもエリの中を大きく占めていたのは…
『ねぇ、三月…。いっぱい、触って?』
「っ、!!あぁもう!なんでエリはいつだって、こうも簡単にオレの心をかき乱すんだろうな」
三月は、エリの両肩を優しく押した。見下ろしてくる瞳の中に、ギラリと熱が宿っている。そんな彼の初めて見る表情に、胸がいっぱいになって瞼を下ろした。