第3章 三夜目.トライアングラー
普段してくれる可愛いキスではなく、互いの舌を深く絡める大人のキス。一向に慣れない唾液の交換に、エリは全身の血が沸騰してしまいそうな心地である。
目が虚ろになって頬を熱くするエリ。三月は時折、平気か?と優しく声を掛けた。彼女がこくんと頷くと、三月の手が腰の辺りを怪しく撫でる。
『っ、ん…!』
こんなふうにいやらしい手付きで三月が自分を撫でるなど、エリは想像もしていなかった。しかし、嫌悪感などまるでなかった。それどころか、もっとその手で触れて欲しいと望んでいる。
バスローブの中を滑っていた手が、這うようにして上へと移動する。
やがて、ふっくらとした柔らかい山に指がかかる。彼の手は、遠慮がちにそれを包み込んだ。ひくっと全身が揺れ、高い声が漏れる。
三月は空いている方の手で、エリの片頬を包み込んだ。そして、感じ入る彼女の表情をじっと見つめる。
『やっ、だぁ…!三月っ、見な…いで』
「ごめん、無理…」
そう謝りを告げてから、三月は山の頂をきゅっと摘む。すると、エリは一際大きな嬌声を上げた。彼は堪らず、すぐにその唇を塞いだ。
「んっ、エリ…。可愛い」
『ふ ぁ…、三月…私、んんっ、変になっちゃいそう…』
怒涛のように押し寄せる初めての体験に、エリは溺れてしまいそうだった。しかし不思議なことに、不安も恐怖心も襲ってはこない。それはきっと、この海で一緒に泳いでいるのが、三月だからだろう。