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【R18】遥かな愛

第2章 往昔



家に帰るのが嫌になってきた。


お父さん、いるのかな。


いたらどうしよう。


いても普通にしよう。いつも通りに。きっとそれが良い。


だって、何もないから。


お父さんは酔っていて、何か勘違いしていたんだから。


そう思えば、少しだけ気持ちが軽くなる。


でも平常心にするの難しい。


悩みながら家に向かう。







家に着くと、ドアノブに手をまわす。


『(あ、開いてる…)』


ドアを開けて、靴を確認するとあったのはお父さんの靴だった。


『最悪……』


小さな声で呟いた。


心臓が痛い。


でも、お母さんの靴もあった。


良かった。安心する。


『ただいま』


靴を脱いで上がろうとした瞬間にお母さんの大きな叫び声が響いて、その声に私は肩を震わせた。


「たぶらかさないでちゃんと言いなさいよ!」

「本当は女と会ってたんでしょう!?を置いて!」


どうしたんだろう、そう思いながらリビングに向かった。


「塾に置き忘れていたテストを取りに行ってたんですよ」


怒っているお母さんに対して、お父さんは静かに答えた。


『お母さん、大丈夫?』

「おかえりなさい、。うん、大丈夫よ…」


大丈夫、と言ってもお母さんはお父さんの事を睨んでいる。


「今日も仕事が遅くなるの」

「…そうなんですね」

「を1人にさせないでよね、危ないんだから」

「分かっていますよ」

「はあ……私が早く仕事を終わらせれば……もっと早く帰れたら……」


お母さんはまた大きく一つため息をついた。


「ごめんね、」


お母さんは私の頬に手を添えて謝った。


それだけ言うとお母さんは家から出ていった。



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