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【R18】遥かな愛

第2章 往昔



「はいないの?好きな人とか気になる人」


香子ちゃんたちの姿が見えなくなった時に聞いてきた。


『えっ?私はいないかな……』

「そっかあ…、私も彼氏欲しいなあ。好きな人とのキスって憧れる」


そう花灯ちゃんが言った。


私はさっきの話で香子ちゃんと花灯ちゃんの2人に気づかれないように反応していた。


私も最悪な形でキスをした。


でも、あれはノーカン。ノーカウントにしたい。


だけど紛れもない事実。認めるしかない。


『はあ……』

「どうしたの?ため息なんかついて」


誰にも言えない。あんなこと。


ずっと心の奥で秘めとかないと。


とぼとぼと歩いていると花灯ちゃんが話した。


「香子、休み時間も受験勉強してるよね」

『…そうだね』


私も受験勉強をしているけど、香子ちゃんと勉強量が全然違う。


「やっぱ、香子は一中(いっちゅう)に行くのかな」


花灯ちゃんが言った【一中】は第一中央って言う普通高校。そこは、偏差値高くて結構有名。


「もそこ受けるんだっけ?」

『ううん、積善高校にした。花灯ちゃんは?』


最初は第一中央に志望していたけどギリギリだから、他の高校にした。


「私は女子高。親が行けってうるさくて。お金がないからね。……それに、そこしか受からないだろうし」


花灯ちゃんは母子家庭で、色々悩んでいるらしい。


「一緒の高校が良かったね」


悲しい声で彼女は言った。私は震えた声でうん、と答えた。


中学で初めて声をかけてくれたのが花灯ちゃん。クラスも3年間一緒で、仲良くしてくれた彼女と高校が離れるのはすごく寂しい。


「じゃ、ばいばい。気をつけてね!」


分かれ道で花灯ちゃんが言った。


『うん、ばいばい』


そう言って花灯ちゃんと私は別れた。

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