第2章 往昔
保健室に行く前にトイレに行って確認したけど生理ではなかった。
生理じゃなくて安心した。
保健室で休んでいると痛みも和らいだから、1時間程度で教室に戻ることができた。
それからは最後の授業までしっかり授業を聞いた。
その日の放課後
友達の花灯(はなび)ちゃんから「ファミレスかコンビニに行こう」と誘われた。
でもテストが来るからその誘いを断った。お金も持ってきていないし……。
「そっかあー……じゃあ、今度行こう」
『うん、ごめんね』
私はその友達と一緒に帰る。
教室から出て階段をおりて靴箱に行くと、花灯ちゃんが「あ」と口にした。
「香子(かおこ)じゃん、どうしたの?そんな所で」
同じクラスの香子ちゃんが玄関で立っていた。
香子ちゃんは可愛い。それに頭も良い。藤ヶ崎くんとどっこいどっこいで、テストの順位を1位2位と争っている。
藤ヶ崎くんといとこだから、藤ヶ崎くんが女の子になったらこんな感じなのかな。と思っている。
「さてはオトコだなあ〜〜」
花灯ちゃんがニヤニヤとしながら香子ちゃんに聞いた。
「ま、まあ…」
顔を赤く染めながら答えた。香子ちゃんが1組の男子と付き合っている事を殆どの同じ3年生は知っている。
「ま、マジか…!!」
「いいなあ〜どこまでした!?」
「キスまで……昨日したの」
きゃあああと黄色い声が響く。
『(キスか……すごいなあ)』
何故か私は感心した。
花灯ちゃんはこういう恋愛の話が大好きで、すごく盛り上がっている。
「ど、どどどどんな感じで!?シチュエーションは!?」
「それは………秘密かな」
ふふっ、と香子ちゃんが微笑んだ。
感心したけど私も、した。好きな人と幸せなキスじゃないけど。
二人の会話を黙って聞く。
「羨ましいなあ、これからデートなの?」
「ううん、デートじゃないよ。本屋で問題集とか過去問を買うの。」
「へええ〜」
それって実質デートじゃん、と花灯ちゃんがニヤついて言っている。
そうしていると香子ちゃんの彼氏が来た。
「じゃあ、また明日」
手を振りながら香子ちゃんは彼氏の後を追った。
「またねー!」
花灯ちゃんは手を大きくぶんぶんと振りながら見送った。花灯ちゃんに対して私は小さく手を振る。