第24章 悪夢の再来
『ガキみたいに騒いでんじゃねェっ!!やれることがあるならやるしかねェだろうがァっ!!!』
『ガキみたいじゃなくて今はガキだっつうのっ!!じゃ、あたしが死んでも実弥は平気だって言うのっ!?』
『そんなこと言ってねェだろうがァっ!!』
『言ってるのと同じじゃんっ!!』
言い争いを始めてしまう2人に珠世は呆れている。
『2人とも…落ち着いてください。確かに桜雪さんの体に人間化薬を投与するのはリスクがあります。しかし、完全に死ぬと決まったわけではありません。やってみましょう。僅かな希望に望みをかけましょう。』
『分かった…』
桜雪は拗ねたように珠世の言葉に答えた。
『いきますよ。』
いつのまにか愈史郎が用意していた人間化薬を桜雪に投与しようとしている珠世。
桜雪はその言葉に少し怯えた様子で頷いた。
薬が桜雪の体に注射器の針から入れられた。
『どうですか?』
『喉の乾きと空腹感は無くなった。でも…歯は尖ったまんま…爪も尖ったまんま…』
桜雪は舌先で歯を確認して、爪を見ながら言った。
『日光のテストをしましょう。愈史郎…準備を…』
『はい。』
愈史郎はそう言うと大きな機械を用意した。
珠世はその機械から伸びる小さな懐中電灯のようなものを桜雪の腕に当てた。
『っ!!…ふっ…はぁ…はぁ…』
桜雪の肌には当てられた部分から全身に蕁麻疹が広がり呼吸困難になった。
珠世は直ぐに桜雪に処置を施した。
桜雪は鬼化してしまったが故に重度の日光アレルギーを発症していたのだった。