第10章 裁判と約束
更紗が全ての事を終わらせ、炭治郎と共に初めに控えていた下座で正座をして頭を垂れた。
「お待たせしてしまい申し訳ございません。傷も完治いたしましたので、何か私にお役に立てることがあるならば、何なりとお申し付けください」
「大事なさそうで安心したよ。では早速本題に入るけれど、更紗は先の鬼との闘いで、突如出現した障子の向こう側に黒い着物の女性の姿を見たそうだね?」
杏寿郎からもたらされた情報の確認に、更紗は首を上下に振る。
「はい。瞳孔が縦に割れておりましたので、ほぼ間違いなく鬼と思われます」
その情報は炭治郎を除いて皆が知るところである。
つまり何が言いたいのか……と更紗は考え、一つの思い浮かんだ仮定にドクンと心臓が嫌な音を鳴らした。
「あの女性の鬼が鬼舞辻無惨……という事でしょうか?」
「そう、更紗が見たのは鬼舞辻無惨。目、声、容姿、心音が、炭治郎の遭遇した鬼舞辻のものと完全に一致した。鎹鴉達の証言なので信憑性は高い」
お館様の言葉に柱達は2人へと身を乗り出し、様々な質問を繰り出した。
どんな容姿だったのか、血鬼術は見たのか、障子の向こう側は見えたのかなど、次々と問われたので、更紗も炭治郎も答える暇もない。