第10章 裁判と約束
炭治郎は解放されたままの姿……地面に寝そべったまま話しを聞いていたが、お館様の声が途切れた瞬間に我に返ったのか弾かれたように姿勢を正し平伏し、言葉の続きを待っている。
「十二鬼月を倒しておいで。そうしたらみんなに認められ、炭治郎の言葉の重みが変わってくる」
直接話しかけられてはいない更紗もお館様の声を耳にするだけで妙な高揚感が沸いてくる。
隣りにいる杏寿郎や少し離れた場所にいる実弥も、自然とお館様の声に集中していた。
それは炭治郎も同じだったのか、ガバッと上体を起こし紅潮した顔をお館様に向ける。
「俺と禰豆子は鬼舞辻無惨を倒します!俺と禰豆子が必ず悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう!」
「今の炭治郎には難しいから、まずは十二鬼月を1人倒そうね」
笑顔で一刀両断されてしまい、顔を真っ赤にして小さく『はい』と言った。
その掛け合いに一部の柱を除いて皆が笑いを堪えながら、炭治郎へ柱が尊敬され優遇される理由を説いているお館様の声を聞いていた。
ちなみに一部の柱の1人は杏寿郎で、跪きながら大きく頷き
「いい心がけだ!」
と小さく呟いている。
あとの1人は実弥で、炭治郎をただただずっと睨みつけていた。