第24章 凄惨と合流
「紫炎の呼吸 伍ノ型 烽火連天」
……引き止められることを防ぐということは更紗へと杏寿郎が手を伸ばしかけていたということだ。
それでも技の発動を強行したのは杏寿郎ならどんな体勢からでも防ぐことが可能だと確信していたから。
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎」
1つ想定外だったのは杏寿郎が身を屈めず技を放ち、更紗だけでは吹き飛ばしきれなかった瓦礫を吹き飛ばしたことである。
2つの技によって空へと吹き飛ばされた瓦礫を呆然と眺めていた更紗の腕が強い力で引っ張られた。
「今更だがいきなり無茶をしないでくれ!舞い上がった瓦礫がまた君の上に戻ってきたらどうするつもりだったんだ?!」
「あぁ……それは考えていませんでした。で、でも無事に瓦礫はどこかに飛んでいきましたよ!ほら、空も見え……ましたし」
改めて空を見上げて更紗は愕然とした。
皮肉にも思わず見入ってしまうほどに煌々と輝く満月が空に浮かんでおり、白み始めてすらいなかったのだ。
「夜明ケマデ1時間半!鬼舞辻無惨ト柱タチガ戦闘開始!直チニ合流セヨ!」
「…… 更紗、行くぞ。1時間半あろうと必ず鬼舞辻を足止めして倒す。あと少しだ、頑張ろう!」
「はい!先が見えただけマシです!」
夜の静まり返った市街地に戦闘音が鳴り響く。
それに向かって2人は鎹鴉に導かれ鬼舞辻を目指した。