第24章 凄惨と合流
きっと時間で言うとごく僅かだったはず。
だが息付く暇もなく代わる代わる襲い来る様々な衝撃は2人の体感速度を遅く感じさせていた。
ようやく衝撃が収まったと思った時に感じたのは杏寿郎の僅かな重さと……そこから流れ落ちてくる赤い液体の感触だった。
「無事か?怪我はしてないな?」
「杏寿郎君が守ってくれたから……待って、すぐに治します」
どこから血が流れているのか分からないが、パッと確認する分には何かの破片が突き刺さっている様子はない。
不幸中の幸いの状況で更紗は慌てて杏寿郎の傷を癒し、その背にのしかかっている木の板を押し戻した。
「痛みはありませんか?!手足や臓器は無事ですか?!治っていないところは……」
自分を庇ったばかりに傷を負ってしまった杏寿郎に対して罪悪感が湧き出し、それに伴って止まっていたはずの涙が零れ落ちて、僅かに動ける空間で必死に杏寿郎の体を見回す。
「どこも激しい損傷はないから落ち着いてくれ。大丈夫、ちゃんと生きている」
「……よかった。私が鈍臭いばかりに杏寿郎君に負担をかけてしまってごめんなさい!今度は私が動きます。上の瓦礫を吹き飛ばすので身を屈めてお待ちください」
杏寿郎が立ち上がることが出来ない空間でも更紗なら少し屈めば十分立ち上がれる。
引き止められる前に素早く立ち上がって抜刀し技を放った。