第24章 凄惨と合流
階段を昇り始めて暫く止んでいた風景の切り替わりが徐々に復活してきた。
足を上へと動かしている間も周りの風景は目まぐるしく変化し、音や匂いが遠のいたり近付いたりしている。
地上へ向かっているはずなのに、まるで紙芝居を見せられてるかの如く景色が変わるので本当に地上へ近付いているのか分からなくなりつつある。
精神的に焦らされている状況でどうにか上へ続く階段を見つけたと思った矢先、再び景色が唐突に変化して思わず2人ともが足を止めた。
「え……こんなのって……」
2人の目に映ったのは、明らかに手遅れだと分かるほど手酷く傷を負わされた剣士たちの姿だった。
「まだ……何名かは救えるかもしれない。早く」
自らの腕を切るために柄へと手を伸ばすが、それは杏寿郎の手によって阻止される。
「どうして……まだ間に合うかも」
「間に合わない。ここにいる剣士たちは全員事切れている。彼らのことを想うなら、更紗はここで血を流すべきではないのではないか?」
更紗だって分かっている。
今まで鬼狩りを続けてきて人が生きているかそうでないか、それくらいの判断は出来るようになっているから。
それでも無念のうちに床へ横たわることになってしまった剣士たちを、何もせず置き去りにすることが出来なかったのだ。