第24章 凄惨と合流
「え?!そんな事が出来るのですか?それはとても助かりますね!でしたら横に移動するよりも上に移動しますか?……上に続く階段が上に繋がってるとは限りませんが」
横に移動している現在、あちこちに飛ばされているので今どこを走っているのか地上からどれほど離れているのかも分からない。
例え今から階段を昇って上に向かっても、目まぐるしく景色の変わるこの本拠地内の上層階へ辿り着けるのか定かではないのだ。
「ふむ、繋がっているとは限らないがやってみる価値はあるな!よし、上に続く階段を探す!皆、踏ん張れ!あと少しで地上に出られるぞ!」
上に登る云々の前に長時間走り続けても普通に会話を繰り広げる2人に他の皆は最早着いていけていない。
「でしたらお2人は先に上を目指して下さい。この中には鳴女だけですし、愈史郎さんがそれを制してくれているならば差し迫った危険はないはずですから」
こんな渦中で離れるのは誰しも恐怖を感じるし不安にもなる。
言葉を発したしのぶもそれは同じだ。
しかし先に行けと言われた1人である更紗は、先ほどの凄惨な現場を目撃したのでそれが顕著に表れた。
不安げに揺れる瞳を確認した杏寿郎は頭を軽く撫でながら笑顔を向ける。