第24章 凄惨と合流
煉獄家の一室、居間では心臓と胃に多大な負担のかかった涼平が額に水で濡らした手拭いを置いて横たわっている。
「もう!私の娘なんだから無茶することは分かっていたじゃない!千寿郎君、ごめんなさいね。少し寝かせててあげてもいいかしら?」
一方、娘の腹に穴が空いても意識を飛ばさず戦況を見守る紗那。
千寿郎でさえ更紗の危機に倒れそうになったので、紗那の精神力は半端なく強いと思われる。
「もちろんです!紗那さんは……その、大丈夫ですか?今は回復したとは言え更紗さんの傷……」
心配げに見つめてくる千寿郎に一瞬動きを止めて瞳を床へと向けたが、更紗とよく似た儚げな笑顔を浮かべた。
「可愛い一人娘だもの、やっぱり小さな傷1つでも怖くて心配になるわ。でも涼平さんが連れ帰ろうとしたのを私が引き止めたんだもの、どんな結果でも聞く義務があると思う。耳を塞ぎたくなるけど娘が頑張っている姿は……直接見れなくても見届けてあげなくちゃね」
苛烈な闘いが繰り広げられると理解した上で戦場へ送り出した紗那なりの決意なのだろう。
儚げな表情であっても声音や瞳からは強い意志が感じ取られ、千寿郎も身が引き締まる思いとなる。