第24章 凄惨と合流
いつも冷静で的確に導いてくれる杏寿郎だが、ぱんぱんになったポケットから紙を破かないように一生懸命取る姿は少し幼く見え鞄を広げて待つ間もつい笑顔が零れてしまう。
「焦らなくて大丈夫ですよ。まだたくさん落ちているので拾い集めなくてはいけませんし。それにしてもいっぱいポケットから出てきますね、杏寿郎君のだけで剣士の方の半数分あるかもしれせんよ?」
まるで別次元に繋がっているのではないかと思うほどに次々と出てくる……
決して折り畳んだりはしていないのに、どうやって突っ込んだのか聞きたくなるくらいに出てくる。
「そうか?きっちり端を揃えて入れればたくさん入るぞ?……出す時に苦労はするが」
「几帳面ですね。フフッ、なんだか気持ちが和みました。ありがとうございます」
たまに見せてくれる杏寿郎の可愛らしいとこに癒されながら更紗は鞄の中へと次々と綺麗に揃えられた紙を入れて後ろを振り向くと、両腕に大量の紙を抱える伊之助が順番待ちをしている姿が目に入った。
「紙はまだたくさん落ちてますが、そろそろ行きましょうか。私の鞄も伊之助さんの分で満杯ですから。伊之助さん、どうぞこちらに入れてください」
誇らしげな伊之助に礼を述べて大量の紙を鞄へ詰め込み、鬼舞辻無惨を探し出すために再び足を動かした。