第24章 凄惨と合流
基本的にほぼ全員から命がいくつあっても足りないと思われている更紗は、今は戦闘から離れているので終始大人しく床にしゃがみ込んだり立ち上がったりを繰り返している。
「結構たくさん落ちてますね。皆さん、ポケットいっぱいになれば言ってください。私の鞄の中、まだまだ余裕がありますので」
現在移動しながら廊下にばら撒かれている不思議な模様が描かれた紙を全員が栗拾いよろしくせっせと集めている。
初めてそれを目にした時はそれなりに警戒していたが、その模様が鎹鴉たちが首から提げている模様と似通っていたので手に取ってみたのだ。
使い道を試行錯誤しているうちに額に貼り付ければ、自分の姿を相手から見えなくするという何とも有難い効力を発揮してくれた。
しかも付けている者同士なら互いの姿を確認出来るという素敵な効力も付与されるのだ、全力で集める他ない。
「ではこれを頼んでもいいか?もうどこもかしこも一杯で入れる隙が皆無なのだ」
杏寿郎の声に床へ落としていた視線をそちらへ向けると、更紗は目元を柔らかく細めて笑みを浮かべた。
「ポケットの中身も少しこちらに移して下さい。そのままでは隊服が破れてしまいそうですよ?」
「む……そうか?……流石に詰め込みすぎたか、取り出すのも一苦労だ」