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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第23章 上弦と力


「育手や師範になるということはそういう事だ。呼吸を使える剣士が鬼になれば、鬼殺隊にとって脅威になる」

2人の少し後ろを走る義勇の静かな言葉は、杏寿郎に育ててもらった更紗と炭治郎の胸に重く響いた。

素性がよく分からないにも関わらず、杏寿郎に拾い上げ育ててもらった更紗には特に胸が痛くなる言葉で、無意識に地面へと僅かに視線が落ちる。
それを視界の端に映した杏寿郎は、眉を下げて苦笑いを浮かべた。

「育手となるのも師範となるのも自分の意思だ。自ら決めたことに責任が着いて回るのは仕方の無いことだが、やはりいたたまれないな」

誰も自分が心血を注いで育てた弟子が鬼になるなど思っていない。
善逸の育手だって可愛い弟子がまさか鬼に……しかも鬼殺隊を脅かす上弦の鬼になるとは夢にも思わなかっただろう。

その事実を知らされた時の育手の心痛は計り知れない。

「はい。人それぞれ考えが違うとは言え、自らの育手を死に追いやる選択はして欲しくなかった……と思います」

違う選択を取っていれば育手を失い善逸が悲しむこともなかったし、こうして弟子同士が互いの敵として刃を交えることもなかったのだ。
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