第23章 上弦と力
「そう言えばあの子たちは今闘ってる鬼を1度退けたのよね?その時より人数も多いし、更紗ちゃんも杏寿郎君も強くなっているのでしょう?それならすぐに勝てるんじゃないの?」
最もな紗那の意見に涼平も頷く一方、千寿郎は不安げに瞳を揺らせながら視線を床へ落とした。
「あの時に兄上と更紗さんが今の力を持っていれば勝てていたと思います。でも鬼側もここ数ヶ月、水面下で万全の体制を整えていたはずです。そしてそれが整ったから……今日こうして鬼殺隊の本部に乗り込んで来たのです」
「つまり……更紗たちが強くなることを見越して、鬼たちも力をつけてきていると言うこと……かな?」
怒りから一変、2人の表情は思い詰めたものとなる。
そしてそれは千寿郎も同じくだ。
「はい。特に上弦の参……猗窩座は兄上や更紗さんの当時の力を身をもって知っているので、それを上回るものを身に付けているのではないかと僕は思っています。何か……変なことが起きなければいいですが」
「……変なことって何?分身が作れるようになるとか、体が巨大化するとか……じゃないわよね?」
「それは……出来るようになっていてもおかしくありませんが、1番恐ろしいのは頸を斬っても死なないことです。こんな地中にある室内では……太陽の光が届きませんから」