第23章 上弦と力
鎹鴉より新たに入った司令により、3人は神久夜や無事に合流を果たした要に導かれ上弦の参……猗窩座と戦闘を繰り広げている義勇と炭治郎の元へと急いでいた。
しかしやはり鬼側は柱同士の合流を良しとしていないようで、行く先々で足元や目の前に障子が口を広げて待ち構えていたり、いきなり壁が文字通り飛び出してきて分断させようとしてくる。
「2人とも絶対俺から離れるな!どこに飛ばされるか分からんぞ!」
「はい!それにしても……」
「鬱陶しいなぁ!何だこれ?!どうなってんだ!」
ひっきりなしに行く手を阻まれ思うように足が進まず、杏寿郎や更紗を初めとして……誰より伊之助が苛立ちをあらわにしていた。
「って言うか更紗は自分の心配してろよ!俺様は1人でも大丈夫だからな!」
最近では更紗の名前をきちんと覚えて呼んでくれるようになった伊之助は、あまりにも厄介事に巻き込まれる更紗へ、言葉は乱暴でありながら心配をしてくれている。
「ありがとうございます。でも伊之助さんが離れてしまうと寂しいですし困るので、伊之助さんもお気をつけ下さいね」
上下左右あらゆるところから襲いかかって来る障子や壁を避けながらもふわりと笑みを向けられた伊之助は、先ほどに引き続きほわほわとたんぽぽの綿毛のような雰囲気を纏わせた。