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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第23章 上弦と力


「……ほぼ間違ってはいない。毎日毎食、食事を持って来る度に他愛のない話しを飽きもせず1人話していた。ただ……杏寿郎が任務に赴いた夜、俺の部屋の前に来て一言二言声を掛けてきたのだ。それで俺が起きていると知れば静かに杏寿郎の……その……魅力を話し出すんだ」

杏寿郎が任務の夜となると、更紗は頻繁に槇寿郎の部屋の前に訪れていたことになる。
しかも本人は無意識に杏寿郎の惚気話を、その父親に話していたのだ。
……父親からすれば自分の息子の惚気話を頻繁に聞かされては、複雑な気持ちになっただろう。

「それは……なんて言うか拷問に近いな。自分の息子の惚気を年頃の娘から永遠と聞かされ続けるって……だが、姫さんは必死だったんだろうな。別れは何の前触れもなく襲ってくるって知ってっから……旦那には煉獄と向き合ってほしかったんだろ」

「そうだったのだろう。あの子の無意識の惚気話を聞いていると、臥せっていること自体が馬鹿らしくなってきた。それと、杏寿郎をそこまで慕う更紗に興味が出て来たのだ。返事もせん偏屈な男相手に嬉嬉として杏寿郎の惚気話を話す女子にな」

今でも更紗の杏寿郎に対する惚気話は健在です、と声を大にして言いたくなった天元だが、無意識にしていることを暴くのは可哀想だと思い直し口を謹んだ。
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