第23章 上弦と力
『杏寿郎と更紗、伊之助が上弦の弐を倒した!よくやってくれた……引き続き鬼舞辻無惨の捜索、並びに杏寿郎たちを上弦の参と戦闘中の義勇と炭治郎の元へ!』
槇寿郎と天元の元に吉報がもたらされた。
上弦の弐との闘いを逐一聞いていた2人は大きく息をつき、肩に入っていた力を抜いた。
「アイツらやりやがった!おい、煉獄の旦那!アイツら上弦の弐を倒しやがったぞ!胡蝶の毒や姫さんの母ちゃんの口添えもあったがな!よかったじゃねぇか、煉獄の旦那!煉獄たちは全員無事だ!」
天元が槇寿郎の肩を叩こうと体をそちらへ向けると、槇寿郎は日輪刀…… 更紗が最終選別で使用していたモノの柄を握り体を支えている姿が目に入り、思わず苦笑が漏れる。
「よかった……また家族を失うのでは無いかと……杏寿郎にも更紗にも嘴平君にも俺と同じ想いはして欲しくないのだ。どうか無事に戻ってくれ。俺も千寿郎も……待ってるぞ」
その表情はかつて妻を失い無気力に生きていた男のものではなく、ただ家族や大切に想う者たちの無事を祈るの姿がそこにあった。
「……煉獄の旦那、俺派手に聞いてみたかったんだが、酒浸りの生活からどうやって持ち直したんだ?煉獄は姫さんが旦那に毎日話し掛け続けたって言ってたが……それだけか?」