第23章 上弦と力
伊之助が叫び動き始めたと同時に、神久夜の他に部屋内に潜入していた鎹鴉が高らかに告げた。
「紫炎柱サマノ母君ヨリ伝言!何ヲシテデモ2人ヲ守リ助ケナサイ!ソシテ、自分ノ身モ蔑ロニハシナイヨウニ!」
突然の紗那からの伝言に鬼殺隊の3人はもちろん、鬼までもが目を点にして呆気に取られてしまっている。
規格外過ぎて全員が反応に困っているが、1番困ったのは更紗である。
「お母さん……ここの様子を把握しているのは分かりましたが……これは少し恥ずかしいです」
仏像からの攻撃を懸命に避けながらも顔は真っ赤だ。
「お義母さんはなんと言うか……逞しいな!さて……何かしたいことがあるなら力を貸すぞ!更紗の命に関わらないものに限るが」
「……逞し過ぎて困りますが、したいことはあります。その間、この仏像のお相手を杏寿郎君にお任せしなくてはいけなくなります……それでも構いませんか?」
鬼への道を切り開くために、自分たちだけでなく伊之助へ向けられている攻撃を2人でいなしている現状、それを杏寿郎1人に委ねることは負担を1人に強いることになるのだ。
それをわかった上で杏寿郎は笑顔で頷いた。
「構わない!君が命を掛けて何かをするのだ!全力で援護するし、この仏像の攻撃は全て俺が受け持ってやる!」