第23章 上弦と力

更紗たちの危機的状況を煉獄家で耳にした涼平と紗那は、それぞれの反応を示している。

「あぁ…… 更紗。心配だ……神様、うちの娘たちをお守りください！」

涼平は既に神頼みである。
胸の前で手を擦り合わせ、今にもお経を唱え出しそうな勢いだ。

「神様に祈ってもどうにもならないわ！更紗ちゃん、杏寿郎君と嘴平君を援護なさい！なんだったら突っ込んでもなんでもして、鬼の動きを止めるのよ！腕と刀が凍っていても出来ることがある！」

紗那に至っては激しい興奮状態に陥っており、情報をもたらしてくる鎹鴉に向かって叫んでいる。
鎹鴉に叫んだところでその声が更紗に届くことはないが、あまりの迫力に鎹鴉が音を上げて、この状況を全剣士に伝えてしまうかもしれない。

「お、落ち着いてください！紗那さんが言うと、本当に更紗さんがその行動をしそうで怖いです……弱っているとは言え、上弦の弐に突っ込んでいくのはあまりに危険です」

「危険を承知であの子は戦場に向かったのよ？こうなったら鬼を倒すしか生き残れる道はないんだから、死なないように注意して突っ込むしかないでしょう？大丈夫、杏寿郎君が着いていてくれれば、あの子は絶対に死なない」