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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第23章 上弦と力


「あぁ、更紗も気を付けてくれ。すぐに片をつける」

置き土産が何なのか……それどころかしのぶが置き土産を残していることなど予測すらしていない更紗と杏寿郎は、激戦が繰り広げられる場へ赴く互いを想い、背に広がる温かさに胸を締め付けられながら離れた。

(本体を倒せば人形も消える。更紗の気力が尽きる前に……嘴平少年の様子がおかしい。何を聞かされている?)

杏寿郎の焦りは、目の前で力なく腕を下げている伊之助の覇気のない姿によって掻き消された。

「どうした?!何があったんだ?!」

「ん?大したことじゃないよ。この子の母親を俺が殺したって話してただけ。あぁ、ごめんね。続きだけど、あの女は君を守ろうと崖下の川に投げ捨てたんだけどさ、そこで俺に殺されたの。自分の子供を守るために死ぬなんて馬鹿だよね」

自分の母親がこの鬼に殺められたわけではない。
それでも杏寿郎の中に抑えようのない怒りや憎悪が溢れ返り、ほぼ無意識に鬼へと詰め寄って刃を向けていた。

「大したことではないだと?!よくもそんな事が言えたな!大切で愛おしい人を守る行為は尊い!決して馬鹿だと笑われるような行為ではない!」
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