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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第23章 上弦と力


少し時間を遡り、障子に飲み込まれた2人は落下による衝撃をそれぞれが技を放って緩和し、どうにか大きな怪我もなく床へと着地していた。

「カナヲ、動けますか?」

「はい。ぎりぎりまで更紗ちゃんが治癒を掛けてくれていましたし……師範、ここはどこ……でしょうか?」

辺りの雰囲気を見る限り鬼の本拠地内からは出されていないようである。
しかし戦闘音が一切響いて来ないので、あの部屋や他の柱たちかは遠く離れた場所に連れてこられたことは間違いない。

「すぐに先ほどの部屋に戻ることが叶わない場所としか分かりません。あの鬼を私の手で討てないのは悔しいですが、置き土産もしてきましたし今は剣士か鎹鴉と合流することを優先します」

そう言って走り出したしのぶの後を、カナヲは少し悲しげに目を伏せながら追いかける。

「カナエ姉さんの仇……ですもんね。私もこの手で倒したかった」

僅かに自分より後ろを走るカナヲをチラと見遣ると、数ヶ月前までは考えられないほど感情を露わにする顔が映り、笑顔を向ける内容の話しではなかったが、しのぶの顔がふわりと和らいだ。

「仇は討てませんが、煉獄さんたちが必ずあの鬼を討ってくれます。カナヲと私が2人で紡いだ糸を、彼らは繋げてくれます」
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