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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第23章 上弦と力


紗那の質問に答えた後、千寿郎は新しい情報が到着するまで赫刀のこと、そして透明な世界のことを2人に伝えた。

普通に生活をしていたならば到底信じられないものばかりであっても、呼吸の技や痣を実際に見ている紗那と涼平は意外にもすんなり受け入れ感心している。

「そんなものがこの世にあることだけでも驚きだけど、うちの娘が全て会得してるなんて。そそっかしくてホワホワした笑顔を浮かべている普段の様子からじゃ、全く想像もつかないね」

「そうね……裏を返せばそれを会得しなくちゃ生きて帰れないってとれるけど、1度信じて待つって決めたんですもの!今は信じて待つしかないわね!」

ようやく落ち着きを取り戻した紗那に千寿郎はそっと息をつくが、そんな安息は一瞬で崩れ去ってしまった。

「現在、防戦一方デス。致命傷ハ負ッテイマセンガ……紫炎柱様ノ治癒ガ常二発動シテイル状況デス」

その情報が紗那の頭の糸をプツリとぶった斬るとは知らず、自身の仕事に忠実な鎹鴉は現場からもたらされた情報を的確に3人へと伝える。

一気に張り詰めてしまった部屋の中、紗那は立ち上がって千寿郎の両肩に手を置いた。

「千寿郎君、箒はどこかしら?包丁でも大丈夫よ?」

正気を失いかけた紗那を落ち着かせるため、千寿郎と涼平が四半刻ほど時間を費やした事は今のところ2人しか知らない。
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