第21章 秘密と葛藤
買い付けてきた多くの食材を直し、皆で食事と芋羊羹を食し終えると、更紗は昨日の約束通り炭治郎と打ち合い(永遠治癒付き)を行った。
と言っても炭治郎は夕餉前まで杏寿郎の稽古をこなしていたので、それほど長い時間は続けられなかったが……打撃を更紗に与えられても文字通り力で永遠と打ち身を治癒され続けるので、なかなか杏寿郎から終わって良しとの声が掛からず、炭治郎の体力ギリギリまで終わらせて貰えなかった。
炭治郎や圭太を除き、明日から更紗との手合わせを望む者が現れるか非常に微妙なところである。
「そろそろ風呂に入らねばならないが…… 更紗の化粧をした姿をもう少し見ていたい。なんとももどかしいな……」
唯一夜も障子を空け放てる煉獄家の居間の縁側、静まり返った縁側で更紗と杏寿郎は温かな茶を啜っていた。
2人きりで居られる僅かな時間、杏寿郎は薄く化粧を施している更紗の頬をゆっくりと撫でる。
「いつでも出来るようにしのぶさんに教えていただいたので、杏寿郎君が見たいと言ってくださればいつでも綺麗に整えますよ?」
頬に当たる優しい温かさに顔を綻ばせながら、その手に自分の手を重ね合わせた。