第21章 秘密と葛藤
それもそうだ、四六時中力の圧縮に意識を向けていたわけでもないのだから。
特に眠っている間など体に異変が起きていようと気付かない可能性が高く、夜眠って朝目覚めぬまま……なんて笑えない状況になっていたことも十分考えられたのだ。
「……自分で言うのもなんですが……よく生きていましたね。今日から控えるようにします」
「控えるのではなく止めてくださいね。止めないなら……煉獄さんにご報告しなくてはいけなくなります」
今まで知らずに更紗が行っていたことに関しては叱られないだろうが、これからことある事に確認され……万が一無意識にでも圧縮している兆候がみられたら確実に杏寿郎から叱られる。
ただでさえ心配させることの多いこの身だ、これ以上心配をかけるわけにはいかないと更紗はしのぶの手を握りしめた。
「止めるとお約束します!ですので杏寿郎君にご報告だけは……継子でなくなってからもご心配かけるなんて出来ません!」
全てが計算だったのか……しのぶは顔を笑顔で満たし、更紗に握られた手を包み込むように握り返した。
「そのお言葉を待っていましたよ。更紗ちゃんが約束を守ってくださる限り、煉獄さんには話さないと約束します。さて、私と珠世さんと愈史郎さんで研究を始めます。更紗ちゃんは先に体に負担を強いている力を出してください」