第21章 秘密と葛藤
「お前の言う漬物のように血鬼術を含め、力は都合よく圧縮されたままにはならない。多少は圧縮されたとしても、大半はお前が意識的に押し込めている時だけ臨時で空間を作っているだけだ」
何を言わんとしているのか……薄々勘づいてきた更紗の顔色も、しのぶや珠世と同じように悲壮に満ちてきた。
「つまり何らかのきっかけ…… 更紗さんの気持ちが緩んだ時に圧縮した力が解放され、新たに蓄積された分と合わさったそれが体の許容量を超えた場合……命に関わりますよ」
すなわち溜まる速度が上がっているのに加え、この尋常でない力の溜まり方の要因の1つは、更紗が意識的に押し込めていた分がせり上がってきていたことになる。
「それって……すごく危険ですよね?あの……体が弾け飛んだりしますか?」
「体は弾け飛ばないが、お前の命が弾け飛ぶ」
ニヤリと怖い笑顔で愈史郎が恐ろしい言葉を発した。
体が弾け飛ぶのも命が弾け飛ぶのも更紗からすれば同義なので、一緒に笑っていられる心境ではない。
「愈史郎!いい加減になさい!無闇矢鱈とそんな事を言ってはいけません……更紗さん、言い方は良くないですが、愈史郎の言っていることは間違っていません。正直申しますと、今まで命があったのが奇跡な状態ですよ」