第21章 秘密と葛藤
何分煉獄家は男所帯なので、今まで様々なことを教えてきてくれた杏寿郎であっても化粧までは管轄外だ。
しかし、ちょうど明日から本部にてしのぶや鬼である珠世との研究がある。
研究の時間を割いて……とまでとは流石にいかないが、研究が一段落した後ならば、しのぶに聞けば教えて貰えるかもしれない。
「はい!そのようにしてみます!では私は今から夕餉の支度にとりかかります。炭治郎さんも圭太さんたちもお疲れだと思うので、こちらかお部屋でお待ちください!」
羽織を脱ぎ腕まくりをして機嫌よく居間から立ち去る更紗の後ろ姿を炭治郎や剣士たちは眺めていたが、我に返ったように慌てて後を追おうとしたところで杏寿郎に止められた。
「今日は更紗と俺が作る約束をしている!あの子は心配性でな、柱が新しい柱をこき使っていると思われるのではと憂いていたのだ!そんな事を思う者はいないと思うが……そういう訳なので君たちは待っていてくれ!先に風呂に浸かっていてくれても構わない!」
更紗の憂いを払うにしては、杏寿郎も居間を機嫌よく出ていってしまった。
「…… 更紗ってここに帰ってきてから食事の準備、毎回してくれてたんじゃ?」
「ん?あ、あぁ。だから今更作ってくれたとしても、煉獄さんが月神をこき使ってるなんて誰も思わないと思うけど」
柱2人に食事を作らせるという何とも居心地の悪い空間に、剣士たちは身を置く羽目となった。