第21章 秘密と葛藤
更紗は自分の左頬に触れ、首をコテンと傾げた。
「私ですか?私は自分の外見にあまり頓着していないので、痣が常に出ていても気にならないですよ?お義父さまも千寿郎君、柱の方々もこれについて触れられなかったので、そんなに変ではないのだと思っていましたし」
恐らく槇寿郎や千寿郎は本人が気にしていたらと思い口にしなかったのだろう。
柱に至っては常に個人の成長具合の報告を受けているので、わざわざ話題に出す内容でなかっただけである。
「え、月神自分の容姿に頓着してないの?あ、いや、痣は鮮やかで綺麗だからいいと思うけど……」
「自分の容姿は……よく分からないんです。杏寿郎君と出会うまで綺麗なお着物を着たこともお化粧をしたこともなかったので。そろそろお化粧くらいはした方がいいのかなぁ?とは思うのですが」
何分化粧の仕方が分からないのだ。
1度裁縫係の鈴村にしてもらったが、何が必要で何をどこに塗ればいいのかが分からない。
唯一、紅は唇に塗るものだと分かるくらいである。
どうしたものかと悩む更紗に、杏寿郎や剣士たちが思わずほのぼのとした笑みを浮かべた。
「フフッ、君はそのままで十分愛らしいので、痣を気にしていないのならばそのままで構わない。もし興味があるのであれば、胡蝶に聞いてみてはどうだろうか?流石に俺も化粧に関しては教えてやれないからな!」