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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


そんな表情になっていると更紗も気が付いている。
ただでさえ皆がお館様の心配をしているのに、自分にまで気を回させてしまっては、これから柱となる者としてあまりにも未熟者だと、両頬をパチンと叩き気を引き締め直した。

その様子に全員が肩をビクつかせキョトンとして、眉をキリリと上げた更紗を見つめている。

「私はもう大丈夫です!お館様は心配ですが……私に出来ることを精一杯します!過去は変えられませんが、頑張り続ければお館様のお体に関しても他の打開策が見つかるかもしれません!」

空元気でも歯を食いしばって前を向いていれば進むことが出来る。
心を燃やし続ければどんな困難にも立ち向かえる。

常々杏寿郎から言われていた言葉を脳内に反芻させ、全員へ更紗が笑顔を向けると、杏寿郎が1番に笑顔を返してくれた。

「よく言った!それでこそ炎の呼吸を使うに値する者の在り方だ!ん?紫炎なので少し違うのか?む……どちらにせよ炎には変わらんか!更紗は全てにおいて魅力溢れる女子だな!」

最後はいつも通り惚気で終わったが、更紗と杏寿郎の言葉で部屋を覆っていた空気が変わった。
重く悲しいものから、前を向き進もうとする覇気の満ちた空気へと。

そしてその空気になるのを見計らったように、部屋の襖が開かれた。

皆が居住まいを正し視線を向けた先には、幾重にも包帯の巻かれた痛々しい姿のお館様と、傍らで寄り添う、あまね様の姿があった。
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