第20章 柱稽古とお館様
体を張って笑いを取るつもりも特技もないが、目の前の人が笑顔でいてくれるなら更紗にとってこれ以上嬉しいことはないのだ。
そんな笑われても悲しむでもなく、ましてや怒ることもなくふわりと笑顔を浮かべた更紗に全員の笑いが止まり、次々と腰を下ろしていた3人の周りに集まり、思い思いの場所へと体を落ち着けた。
「ごめんなさい、柱になるまで成長しても変わらない更紗ちゃんが可愛くて。研究もですが、これから同じ柱として頑張りましょうね」
久方ぶりに見るしのぶの笑顔はやはり綺麗で、ずっと見ていたくなってしまう。
そうしてポヤポヤと更紗が和んでいると、横からいい香りと共に温かく柔らかな衝撃に包まれた。
「私もごめんねー!キュンを通り越しちゃったの!でも嬉しいわ!これからもよろしくね!」
優しい衝撃は蜜璃だった。
あまり女子に囲まれる環境にいない更紗の顔は嬉しさからどんどんと、先ほどまでの締まりのないふにゃふにゃな笑顔に戻っていく。
「こちらこそよろしくお願い致します!なんだか幸せ過ぎて夢みたいです!大好きです!」
気持ちが抑えられなくなった更紗は、大好きだと伝わるようにぎゅうっと抱き着いた。