第20章 柱稽古とお館様
「天元君の穴を埋められるほどの力量はまだついていませんが、師範である杏寿郎君や前任の天元君に恥じない働きを心掛けます。こうして天元君を含め、お世話になっている柱の方々の期待に応えたいですし」
ぎゅっと胸の前で手を握りしめ気合を入れる。
気持ちの問題だが、今の更紗にとってそれがすごく大切だ。
今まで杏寿郎に守られ助けられていたが、これからは肩を並べて闘わなくてはならない。
そして普通に生活している人々に加え、これからは一般剣士たちを導き守り助ける立場になるのだから。
「お、気合い十分じゃねぇか!流石煉獄の継子、燃えてんなぁ!姫さんは努力家だし、その気持ちがあればあれよあれよと強くなりそうだ」
「うむ!こうも心の中まで引き継いでくれるとはな!君の場合、前進しようとする気持ちや日々の努力を絶やさなければ、自ずと力がついてくる!共に頑張ろう!」
2人の言葉が嬉しく締まった表情をしようと思っていたのに、なぜか締まってはくれずふにゃふにゃな笑顔になってしまった。
「君の顔を見るだけで気持ちが伝わるな!場所が場所なら存分に愛でていたところだ。あぁ……愛らしいな」
綺麗に結い上げられた更紗の髪を乱さないよう細心の注意を払いながら、杏寿郎は髪の流れに沿ってゆっくり撫でている。
「煉獄、もう既に愛でてんぞ。そんだけ愛でれば十分ってほどだっつーの」