第20章 柱稽古とお館様
「彼は彼の人生を歩みだしたからな。喜ばしいことだが、確かに物悲しい気持ちにはなる。こんな話をしていれば、時を見計らったかのように」
「よう!煉獄、姫さん!元気にしてたか?祭りの神降臨だぜ!」
「そうそう、こうして元気に入ってこられ……え?!天元君?!あ、え、杏寿郎君、私にしか見えていない……なんてことはないですよね?」
目をシパシパさせ何度も入口に佇む人物を凝視するが、どこをどう見ても天元本人だ。
もちろん杏寿郎の目から見ても天元に違いない。
いつもと違うと言えば、隊服ではなく袴を着用している点だけである。
「大丈夫だ、更紗!俺にも宇髄本人にしか見えんからな!宇髄も会議に呼ばれたのか?」
2人の驚く姿に満足したのか、天元はニカッと笑いながら大股で更紗と杏寿郎のそばへ歩み寄り、ドカッと腰を落ち着けた。
「柱稽古に参加してる以上、経過報告はしなきゃなんねぇからな!ま、そのお陰で姫さんの拝命式も目に出来るってわけだ!棚ぼただな、棚ぼた!いやぁ、にしても派手に嬉しいね。俺の抜けた穴を、他の奴じゃなくって姫さんが埋めてくれんだから!成長を見守ってきた甲斐があるってもんだ!」