第20章 柱稽古とお館様

翌朝、更紗と杏寿郎は昨日と同じくらいに目を覚まし、剣士たちが起き出す前に屋敷を出発した。

今日の稽古はお休み……ということはなく、昨日の夕餉の席で今日の稽古内容は発表されていた。
するかしないかは本人次第だが、杏寿郎と剣士との普段の関係性を見る限り怠ける者はいないだろう。

食事も朝と昼の分を作り置きしているので、空腹が原因で稽古に身が入らないということもないはずである。





そして現在はいつもの待機部屋のようなところで、他の柱たちの到着を待っている次第だ。

「杏寿郎君……すごく緊張してきました。私は何をすればよろしいでしょうか？座っていても大丈夫ですか？」

柱を拝命するまでは杏寿郎の継子なので、今のうちに存分に質問しておこうとカタカタ震える体で杏寿郎へ問うと、杏寿郎は笑を零し肩をポンと叩いた。

「そんな仰々しいことはしないので、いつも座っていた場所に座っていれば問題ない。ただし返事は大きな声でハッキリとな！それが出来れば何も心配することはないぞ！」

未だに体はカタカタしているが、長い祝詞のような言葉を言わなくて大丈夫だと知り、更紗の表情から緊張が幾分か和らいだ。