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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


当の本人があのような感じなので忘れそうになるが、更紗の能力は本来世に出すことを代々禁じてきた代物だ。
現在更紗が外の世界で生きていられるのは、政府非公認と言えど鬼殺隊という大きな組織の力で守られているからである。

それに更紗は自分の力が世に出ることにより、自分や周りにどのような影響を及ぼすのかを身をもって知っているので、鬼殺隊内以外で容易に力を使用しない。

「そうか……お前の中でしっかり考えているならば何も言うまい。最期までそばにいてやれ、途中で放り出すようなことがあれば……煉獄家の敷居を跨がせんぞ。杏寿郎に限ってそれはないと思っているが」

「それもご心配には及びません。何があろうと更紗を手放すつもりは毛頭ございませんので。あの子がいない生活など考えられない。あんなに愛らしくて初心で……人のために生きられる女子を手放すほど愚かではございませんよ」

最後はほぼ惚気だったが、杏寿郎の更紗に対する強い想いが槇寿郎に伝わり、後頭部をガリガリと掻き毟って立ち上がった。

「お前は瑠火の血を濃く継いでいるので聡い男だ。今の自分の言葉、夢々忘れんようにな」

父親からの最大の褒め言葉に杏寿郎は笑顔を浮かべて大きく頷き、槇寿郎と同じように立ち上がって部屋の襖を開けて、居間へと2人で足を向けた。
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