第20章 柱稽古とお館様
「今日か!ふむ……では今日の稽古は一段と気合を入れて頑張らねばならんな!今夜期待しているぞ、更紗」
なんてことだ。
そんなつもりはなかったのだが、更紗の放った言葉によって、剣士たちが更なる苦境に立たされてしまうこととなってしまった。
だがまだ柱にもなっていない更紗には、柱稽古にとやかく言う権利はないわけで……
「う……はい。応援しております。そして期待に応えられるよう頑張ります」
そんな更紗の剣士たちに対する罪悪感を知ってか知らずか、杏寿郎は快活な笑顔を残して台所から出て行ってしまった。
「どうしましょう。圭太さんたちに合わせる顔が……わ!お湯も沸いちゃった!あぁ……まずは火を止めてお茶の準備を!……あっつ!」
自分の一言が自分をここまで追い込むなど思っていなかった更紗は、1人台所で盛大に動揺し普段しない失敗を繰り返し、危うく湯呑みまで割ってしまうところだった。
そんな中、どうにか無事に茶の準備を終わらせ居間へ向かったのだが、新たなる試練が更紗を待ち構えている。
「お待たせ致し……ました。お義父さま、千寿郎君……どうされましたか?お顔が赤い……?!」