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月夜の軌跡【鬼滅の刃】

第20章 柱稽古とお館様


「期待に応えられるよう……全力を尽くす所存です。ここまで育てていただき、ありがとうございます」

ようやく顔を上げた時には、やはり更紗の瞳や頬は涙で濡れていたが瞳には強い光が灯っており、出会った頃の感情の薄さは全くと言っていいほどになくなっている。

「礼は必要ない。俺が望んでしていたことだからな。明後日、お館様へ柱稽古の途中経過報告の為に柱が本部で全員集まる。その時に更紗は正式に柱となり、これからの方針を決めることになっている。君がそれまでにすることは体調を整えること、それと……それまで俺の継子でいることだ」

それが更紗が涙を流している要因の一つだ。
1つは柱が自分を認めてくれた嬉しさや感謝から、もう1つは1人立ちに対する寂しさからだった。

「はい、しっかり体調を整え万全の状態で拝命させていただきます。師範……継子ではなくなることが少し寂しいです。温かく穏やかな巣から飛び立つのは、これほど侘しいものだったのですね」

止まっていた涙が再び更紗の瞳から滲みだし、ポロポロと頬へと流れていく。
つい最近まで巣立つ日が来るなど思っておらず、それが突然離れる日がやって来て、杏寿郎の庇護下がどれほど更紗にとって心地よい場所だったのかを改めて実感したのだ。
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