第20章 柱稽古とお館様
杏寿郎たち柱が背負っているものを実感し、更紗は背が重くなったように感じたが、しっかり背筋を伸ばしたまま1度畳へと視線を落として深呼吸を零した。
まるでそれは気持ちを落ち着かせ、何か決心するかのような行動に杏寿郎には映った。
「君が考えている通り柱は鬼殺隊の要だ。それに見合う責務は自ずと背負うことになるが、君ならそれを全うしてくれると皆が判断した。そして共に背負う……とも言ってくれている」
柱全員の姿が更紗の脳裏に次々と浮かんでいく。
厳しくも優しい、自分以外の誰かの命を守る道を選んだ尊い人たちの姿が……
そんな愛しい人たちに早く自分も近付き、僅かでも力になりたいと思った時点で答えは決まりきっている。
「ありがとう……こざいます。私の力が皆さんのお役に立てるならば、身命を賭して鬼殺隊を支えさせていただきたく思います。師範のお話、有難く拝受します」
三つ指をついた丁寧で綺麗な礼をする更紗の肩は小刻みに震えており、涙を流しているのだと容易に想像出来た杏寿郎は、震えを鎮めるようにゆっくりと背中を撫でた。
「よく決断してくれた。更紗は紛うことなき鬼殺隊の柱だ。これからは師範と継子ではなく、同志として共に頑張ろう。君の活躍に俺たち柱もお館様も期待している」